2016年10月 - 福岡県バスケットボールのブログ

福岡ジュニアバスケットボールクラブ
2016年10月13日 [ミニバス 福岡]
バスケキッズの親に守ってほしい16のルール

とても参考になることが多く、ズキュンと胸に突き刺さる父兄もいらっしゃるかと思います。
当クラブのコーチも下記の内容に賛同しており取り組んでおります。
一方、多くのミニバスケットボール・中学校部活の指導者と選手と父兄の立ち位置・関係性・考え方・向き合い方が残念ながら下記の点とは真逆に向っており、それは父兄が我が子のみを見ている・バスケで活躍したい目先の華やかさのみに捉われすぎており、あなたの子供に悪影響を及ぼしているのはあなた(父兄)自身なのかもしれない真実・・・
一読の上、振り返って見て下さい・・・
きっとこれからのあなた(父兄)がお子様やチーム指導者と向き合う姿勢の一参考になれば幸いです。

アラン・ステンというバスケコーチよりの助言です。
コーチであり父親でもある私は、バスケキッズを持つ親御さんに以下の16個のルールを提案したい。

1.これは子どもたち自身のバスケットボール人生であり、あなたのものではないということを受け入れなければならない。彼らの代わりとなって歩んではならない。子どもをサポートし、勇気づけてあげられる親であることに集中すること。

2.コーチは勝つためにチームにチャンスを与えられる選手や、戦う姿勢を持つ選手、毎日努力する選手、どのようなものでも自身の役割を受け入れる選手、そしてチームの文化に同意してくれる選手を好む。これが真実だ。もしコーチがあなたの子どもを好きでないとしたら、これらの内どれからが欠けていると考えなければならない。

3.プレイングタイムに関しては、コーチは勝ちたいと思っているし、チームもとにかく勝ちたいと思っている。あなたの子どもがそれに貢献できるのであればプレイングタイムを得られるだろうが、そうでなければ出ることはできない。

4.多くの場合、コーチはワークアウトからプラクティス、ミーティング、試合やその映像まで全てを見ているため、適切なプレイングタイムを評価して決定できる最適なポジションにいる。親は多くの場合試合の現場しか見ることはなく、不完全なイメージしか見ることはできない。

5.多くの場合、経験と指導する能力の両方において、通常コーチは優れたバスケットボールIQと試合における一般知識を有している。したがって、コーチのX&O(戦術)についてや選手の能力における判断基準について質問することは不適切である。

6.応援席から子どもに向かって指示をするのはやめなさい。子どもたちが指示を受けるべき声は、自分のコーチングスタッフからのものだけだ。彼らを勇気づけることだけがあなたがするべきことで、あなたは彼らのコーチではない。それはあなたの仕事ではないのだ。

7.あなたは世界中の何よりも子どもを愛している。常に彼らにとってベストなものを欲している。それは理解できるし尊敬する。しかしコーチの義務はチームにとってベストのことをすることなのだ。多くの場合、あなたが子どもにしてあげたいと思うこととチームにとってベストなことは異なるものだ。

8.プレイングタイムと戦略、そしてほかの選手のことについて、決してコーチと議論してはならない。絶対だ。これら3つはコーチにとっての聖域なのだ。

9.政治的な工作はあなたの子どもがプレイングタイムを得ることに何の意味もなさない。例えば「私はジェフリーがもっとプレイングタイムを得るべきだと考える。何故なら彼の母親が充分なプレイングタイムを得ていないと考えているからだ」といった声明は、高校バスケ史上今まで聞かれたことはない。

10.ミーティングのスケジュールを確保することによって、あらゆる関心事や質問、不安などを、あなたの子どもとコーチが直接コミュニケートすることを促すべきだ。これは親としての私の信念だが、親は単に観察者として正しいミーティングの機会を設けなければならないが、議論は子どもとコーチの間だけで行なわれなければならない。

11.練習の帰途や家族との食事中に、コーチに対して間接的に攻撃してはならない。「あなたのコーチは何を考えているのか分からない」「あなたが何故もっと試合に出られないのか理解できない」といった批判は、子どもにとって気持ちのよいものではない。あなたの意見が理解できるものだとしてもだ。それは単に悪い心構えや言い訳を作ることにしかならず、どちらも歓迎できないものだ。

12.あなたの子どもが思うほどにプレイングタイムを得られなかったり、試合に出ることができないとしたら、それを強力なティーチングツールとして使いなさい。プレイングタイムを得られる方法や、今とは異なる結果を得るためにこれからできることを教えるのだ。

13.レフェリーに文句を言うのはやめなさい。それは子どもに悪い例を示すことになり、あなたを愚かに見せる。レフェリーはベストを尽くしている。通常レフェリーは、親よりも正確なジャッジをするために最適な位置にいるし、ルールについての深い理解を有している。私はまた、高校バスケ史上でこんな声明も耳にしたことはない。「試合を止めてください。皆さんすみません。スタンドの母親の意見は正しい。彼女の息子は先ほどのプレーでファウルをされました」。

14.あなたの子どもがプロになる可能性はほとんどない。これは事実であり、統計として大学でプレイできる子どももほんのわずかしか存在しない。だから彼らに楽しい旅路を過ごしてもらおう。あなたが思うよりも早く、彼らがプレイできる日々は終わるのだ。彼らの成長にとって必要な人生の教訓を教えるために、バスケットボールを活用してほしい。

15.子どもにプレッシャーをかけすぎてはならない。勇気づけたり提案したり、高いスタンダードを子どもに持たせるようにするのはよいだろう。しかし余計な練習を強制してはならない。それは子ども自身から発せられなければならない。もし彼らが自身からより多くの練習を望むのであれば、サポートしてあげてほしい。もしそれを望まなかったりほんの僅かしか望まず、それでプレイングタイムを充分に得られなければ、最後に彼らは人生の大事な教訓を学ぶことができるだろう。

16.あなたができるベストなことの1つは、子どものコーチと素晴らしい関係を築くことだ。


コーチと同様に、スポーツをする子どもにとっては親の協力が欠かせません。しかし出すぎてしまうのは考えものです。私自身子どもができてから、子育ての難しさに悪戦苦闘しています。できないのは当たり前なのですが、子どもがやっているのを見るともどかしくなりますし、何でもかんでもやってやりたくなります。我慢して、時間をかけてやらなければいけないと分かっていてもイライラしてしまったり。
恐らく、自身が競技者だったコーチの方や親御さんは、自分の子どもや生徒を見るときに同じ思いをするのだと思います。何故できないのか、できない子どもに怒ったり怒鳴ったり、そしてその矛先がコーチに向かったり。多くのチームを見てきた人間の意見の1つとして、是非参考にしていただければと思います。


2016年10月12日 [ミニバス 福岡]
運動スキルやコツを指導するためのポイント

基本としている指導のポイントは以下の3点です。この3点についてそれぞれ詳しく解説します。
• 教え込まない
• はみ出す
• 完成させない
教え込まない
まず、「教え込まない」こととは教えるのではなく感じ取らせることが肝要です。とかく指導者は教えてできるようにしてやりたい、あるいは指導者の理想形などに子どもを当てはめようとします。
しかし、それでは子どもが答えを見出す前に答えを与えることになり、答えを模索する段階で出会うさまざまな体験や気づきを指導者が奪ってしまうことや、指導の強制が子どもをロボット化することに繋がります。
教える場合は、指示をするのではなく、考えさせ意見を述べさせます。あるいは「どんな感じがした?」と聞くようにします。感覚に基づく指導は非科学的だと否定する人もいますが、感覚で運動を捉えることができないとコツの習得は困難です。
教えてしまえば創造性がなくなり、聞けば教えてくれる指示待ち人間を生み出します。
はみ出す
次に「はみ出す」とは逸脱するところにこそ、未知の体験があるということです。
運動スキルは与えられた運動ができるようになることではありません。それは前回例に出しましたスポーツ系幼稚園などの事例が示しています。
子どもは与えられことをやり続けると興味が失われ、刺激が減少します。人間の発達は刺激と刺激への適応によるものです。
親が目を離すと危ないことやとんでもない事をしようとするのは刺激を求めての行動です。しかし、我々大人は、お行儀がよくない、怪我をすると言って子どもの動き、要するに興味と刺激を制します。
はみ出すことは未知の体験にとってたいへん重要です。はみ出すところに運動スキルの体験があるのです。
したがって練習を事前に決めることや、デザインすることには意味がないのです。マイネル博士も環界との活発な交流が必要だと述べています。
デザインされたものや決められたことからはみ出して何かをしようとする時、思いがけない体験や運動課題が子どもに立ちはだかります。それを体感し、乗り越えるために自身の全知全能を使って克服する過程に運動スキルの習得があります。
完成させない
最後が「完成させない」です。運動スキルの習得は、運動スキルの習得や完成が目的ではありません。運動体験による感覚運動を積むことです。
したがって、そこには完成形がありません。
跳び箱を何段、きれいに跳べるようになる……
これは運動スキルが目的化しています。これでは跳び箱運動のトレーニングをしたことになってしまいます。
運動スキルは運動体験で感覚を磨くことですから、その過程は千差万別、そして個別的になります。さまざまな運動体験を積んだ結果として跳び箱が跳べるようになることが運動スキルのトレーニングです。さらに完成させないということは新たな刺激を間断なく与えることです。刺激が発達を促すのです。
ある運動(刺激)ができそうになったら、その運動や体験を止めて次の体験や刺激に移ります。刺激慣れは適応を鈍くします。常に新しく、新鮮な刺激にさらされることが重要です。
子どの集中は15分ほどが限界と言われており、子ども向けアニメの多くが10分ほどであるのはそのためと言われています。このように目まぐるしく変化する体験と刺激が必要なのです。
子どもの指導において最も重要なこと
成果を求めない
とかく親や指導者は成果を気にします。特にスクールなどに預けている保護者は自分の子どもがどれだけ成長したか、あるいは習熟度が上がったかを気にします。私どもの教室でも退会理由のひとつに「成果が見えなかった」や、ひどいものでは「コスパが合わない」などもあります。子どもの成長がまるで経済投資のように捉えられています……。
指導者は親の目を気にして、またチーム運営やスクールなどの経営を考え、何とか目に見える成果を出そうとやっきになります。そうなるとスポーツ系幼稚園のような教えられた運動はできるけど、教えられていないことはできないということにつながります。
また、子どもは成果を出すために運動をしているわけではありません。興味に従って刺激を求めて運動をするのです。言い換えると本能に従っているだけです、そこに成果はありません。
特定の年齢にこだわらない
そして次に習得最適期です。これは誕生した直後から始まり第二次性徴が始まるころ(思春期前ぐらい)までと考えられます。【スポーツ指導の常識「ゴールデンエイジ理論」を疑え】の中でも触れていますが特定の年齢が最適期ではありません。
赤ちゃんはお母さんのお腹から出てきた瞬間から重力との格闘を始めます。重力に抗うようにして自分の能力を向上させていきます。正に環界との活発な交流の中で運動を発達させていくのです。確かに運動学習、特に運動スキル習得の最適期は小学校年代であることは否定しません。しかし、中学生ぐらいでも可能であると考えています。
中学生ともなるとさまざまな経験則があるため直観的な運動学習に加えてデザインした方法論やヒントを与えることである程度習得できると思います。また、高校生であっても早熟傾向でない者や力任せの運動をしない者であれば習得可能です。
実際、私が担当するスクールやかつて競技トレーニングを指導した中高生選手でも身体操作性を向上させるフィジカルトレーニングによって運動スキルが高まった事例があります。ただし、個別性はありますが習得に費やす時間と習塾度合いは小学校年代との比較では効率性には劣ることがあります。
運動スキルを習得する機会を大人が奪っている
運動スキルの習得は、特別な環境、道具や方法などは必要ありません。運動スキルは生活や遊びの中で習得すべきものです。
しかし、残念ながら近年では公園など公共施設でのボール遊び禁止、勝利至上主義のジュニアユーススポーツ、偏った運動ばかり指導するスポーツスクール、スポーツ科学理論の間違った理解、また保護者による過保護や行き過ぎた期待感など、運動スキルを習得する機会が失われる環境や状況ばかりが子ども達の周りに溢れかえっています。
運動スキルを備えていなくとも社会生活に困ることはないでしょう。しかし、身体活動である運動は人間の本能的営みです。スポーツ界では「心技体」という言葉がしばしば言われます。これは精神と技(スキル)と身体は一体化しており、それぞれが欠けることなく充実することがスポーツや技の上達、人間性や社会性の形成には必要であるというような意味です。
保護者の方々はお子さんの健全な心身の成長を望むのであれば、運動スキル習得について案じるのではなく運動スキルを習得できる環境を与えることを考えてください。


2016年10月07日 [ミニバス 福岡]
初回のスクールが開講しました!!

昨日、10月6日(木)に小学生&中学生のバスケスクールが福岡県宗像市にて開講しました!!

初回にもかかわらず、たくさんの元気な子供達が参加して頂き、バスケットボールを思いっきり楽しみました。

このスクールはよくあるミニバスチームのような「怒鳴ったり」「プレイを否定したり」することなんて一切ございません。
なぜなら、子供達の可能性は無限大であり、個々の特徴・特性(個性)に応じて最大限に引き伸ばしてあげること、それがコーチ・指導者の役割だからです。

昨日のバスケスクールは初心者の方も多く、初めてのドリブル・初めてのシュートにも一生懸命に目を輝かせ、成功したときの嬉しさは言葉になりませんね!!

この小さな成功体験を積み重ね、個人の向上心・努力することへの姿勢を更に伸ばす、大げさかもしれませんが「人間教育」が今の子供達には重要・大切なんですよね・・・

試合の勝ち負けはそれ以上には及びません。
なぜなら、あくまでも目先の結果論でしかなく、小学生・中学生の頃にはそれまでのプロセスをいかに寄り添いながら向上するサポートをすることが大切な環境でありますので・・・

次回は、10月13日(木)の開催となります。

昨日に来館された子供達は、また楽しみに来館して下さいね!!
また、これからここ福岡ジュニアバスケットボールクラブでバスケを楽しみたい方、個人的にスキルアップを図りたい方の来館をお待ちしております。

先ずは無料一日体験または見学にてどうぞ。

お申し込み・お問い合わせはホームページまたは下記連絡先までお気軽にどうぞ。
運営事務局
TEL:080−8851−0859

2016年10月07日 [ミニバス 福岡]
運動会の季節ですね、そして運動会後に考えることとは・・・

今の秋の季節、各学校で運動会が開催されるところも多いのではないでしょうか・・・
そして、運動会で我が子の活躍する姿を見る父兄の光景が良く目にしますね!!

そんな父兄の多くより、運動会後はよく相談が寄せられます。

運動神経を高めるには・かけっこを早くしたいのですが・・・

ローマは一日にしてならず・・・ですね。

まさに日々の積み重ねが大切です。
その日々の積み重ねとは、日常生活において定期的に運動をすることにより年齢に応じたカラダづくり、筋力トレーニング、心身の健康状態の確保・場の提供を父兄であるあなたが適切に導いてあげることが重要なんですよね・・・

そんなお子様へ運動をさせたいけど何から始めたらよいかをお悩みの方、「取り合えずスイミング・・・」ではなく、しっかり地に足の着いた運動をお子様へいかがでしょうか??

バスケットボールは、「走る」「止まる」「跳ぶ」「投げる」「ヒトとあわせる」という多機能の運動機能向上へ向けたスポーツで優れた競技特殊性を持っております。

それは小さい頃よりの運動「プレゴールデンエイジ」がより適しておるといわれております!!

さあ、早目のスタートをお勧め致します!!

先ずは無料一日体験でお気軽に皆様のお越しをスタッフ一同、お待ちしております。

お申し込み・お問い合わせはホームページまたは下記連絡先までどうぞ!!
運営事務局
TEL:080−8851−0859

2016年10月06日 [ミニバス 福岡]
「運動神経」なんてない・・・・?!

ズバリ、結論から言いますと「運動神経」という神経はありません。
人間のあらゆる動きをつかさどっているのが神経で、スポーツの時だけに使われる特別な神経はありません。よって一般的に言われる「運動神経がない」「運動神経が鈍い」というものの原因は、神経の問題ではなく、運動やスポーツに慣れていなかったり、それらの体験が少なく身体操作性に劣っていたり、あるいは運動のコツを掴んでいなかったりすることが原因です。

運動スキルの習得は一言でいうとフィジカルトレーニングではありません、運動体験です。したがってフィジカルトレーニングとしてプログラム化したり、計画性をもって習得させたりすることは適当ではありませんし、また困難です。

プログラム化して運動スキルを習得するのは難しい

このような事例があります。近年、スポーツや運動をカリキュラムに取り入れた幼稚園や保育園が注目され、そこでは園児に跳び箱やマット運動、逆立ちやバク転などもやらせます。

非常に厳しく指導して卒園の頃にはほぼすべての園児たちが、それらの運動ができるようになります。確かに跳び箱やマット運動などは運動スキル習得の手段ですから、それらができるようなることは運動スキルが身に付いたとも考えられます。しかし、そこの園児の中には、跳び箱やマット運動ができるようになってもボール投げが苦手・自転車に乗れない・走るのが遅い・泳げない子どもたちがいます……。
さらに特段スポーツ好きや運動が得意な子どもになる、小学校の体育の成績が良くなるわけでもないようです。このようにプログラム化して、指導員が計画的に指導しても運動スキルの習得は難しいのです。

運動スキルのプログラム化がなぜ困難なのか?

そもそも運動スキルとは何なのでしょうか?「スポーツをするとスポーツが下手になる」の中でも説明しましたが、運動スキルとは「身体活動のためのコツなどを含む熟達した能力」と定義づけしました。
さらに本文の冒頭で運動スキルは運動体験であると述べました。「体験」とは専門辞書によると「何かについて主体的に、意識的にとらえること、直接に直感的に意識の内容として見いだされるもの」となっています。簡単に言い換えると、「物事に対して自主的に関わり、感覚などを通して意識として感じられること」です。
自分の意識のおもむくままに動き、身体と感覚を通して、楽しい辛い、重い軽い、速い遅い、危ない危なくないなどを経験することです。これは体験学習に近いとも言えます。体験学習は読んで字のごとく体験の中から学習することです。
発達心理学分野では体験学習を「すでに整理された情報を学習することと区別される。あらゆる行為行動は体験となり、特に記号化されていない生の体験に関わることである。全身と五感が関わるゆえに実感が強く働き、情動と認知がともにかかわることとなる。また自然や社会の本物の事象との関わりが生活への学習とつながる良さがある。また子ども独自の関わりが可能となり、個性の発揮と発見ともつながる。」と定義しています。
要するに意図的に作られていない未知の物事を身体活動により感情や五感が捉え、それが生活の中での知恵やスキルとなり、子どもの個性を築くということです。
作られた環境下では発達しにくい
しばしば紹介している運動学習指導の大家であるクルト・マイネル博士も自著「スポーツ運動学」の中で「子どもの諸動作もおとなの運動系も活動し、行為するうちに形作られる。環界との活発な交流がなければ、運動は決して発達しない。…中略… 随意運動はすべて個人が活動して生活する活動のなかで初めて獲得されるものである。」と述べています。
子どもも大人も自分を取り巻く環境へ積極的に働きかけて自らの意志で運動をしないと運動を発達させることはできないということです。ここまでの内容をご理解いただけると運動スキルはコツなどを含む熟達した能力であると定義したことと、且つこれが冒頭で「フィジカルトレーニングとしてプログラム化したり、計画性をもって習得させたりすることは適当ではありませんし、また困難である」と述べた理由です。
運動スキルを習得するには?
スポーツチームやスクールなどでは練習内容をデザインし計画します。事前に指導者がカリキュラム等に基づき教えることを決め、子どもはそれに従ってスポーツや運動をします。これではスポーツ系幼稚園で起こっていることと同じことになりかねませんし、体験学習による学習効果を得ることが難しくなります。
運動スキルは自らの意志、言い換えると「興味が沸いたことに対してチャレンジし、試行錯誤してコツを掴むこと」です。「教えられた」ということは教えられたこと以外の習得や応用が難しいということです。
なぜ、このようなことが起こるのでしょうか?それはそもそも運動スキルが十分に備わっていない者に運動スキルを教えているわけですから運動スキルを発揮できるわけがないということです。言い換えると運動スキルの習得にはコツが大事です。教わったことではコツを感じ取ることが難しいこともあります。

運動のコツを習得するには?

コツとは何でしょうか?国語辞典によると「勘所、要領」などと書かれています。ポイントは「勘」です。さらに「勘」とは「分析的な思考によらないで直観的に物事の真相をとらえる精神作用」や「物事の意味やよしあしを直感的に感じとり判断する能力」とあります。コツとは要するに感覚です。「勘じる(感じる)」ことがコツなのです。
しかし勘じ方は個別的で主観的です。すべての者が同様の勘じ方はできません。勘覚的(感覚的)であるため教えることが難しいのです。かの有名なブルースリーの「燃えよドラゴン」の冒頭でリーが弟子の少年に「Don’t think! Feeeeel!」と指導する場面がありましたが、正にアレです!

運動スキルは一般的に走る、跳ぶ、投げる、捕る……などの基礎的な運動が運動スキルであると思われています。子どもを走らせたり、ボールを投げさせたりすることが運動スキルのトレーニングであると考えがちです。しかし、上記で触れていますが運動スキルは運動体験を通して「運動のコツ」を掴むことです。
したがってただ走ったり,ボールを投げれば運動スキルの習得につながるわけではないのです。

「投げる」動作を考える

「投げる」を例にしてお話しましょう。
投げる運動スキルはボールを投げることを目的にしているわけではありません。投運動のコツの習得、すなわち動きの習得とその効率化及び応用が目的です。
投げるのは的当てのように適度な球速で狙ったところに投げて的に当てる野球やダーツのような投げ方、バスケットボールのように山なり投げて狙ったところに落とす、石投げの水切り、新体操のようなフラフープの引き戻し(フープに回転を与えて投げて、フープを車輪のように走らせ、自分の方に戻す技)、独楽回しなど、さまざまな投げる動きがあります。

的当てや山なりの投運動は力の発揮調整と距離や空間認識が、水切りやフープの引き戻し、独楽回しは(独楽を投げ手前に紐を引き戻す)などは投げる物体への回転をかけるコツが含まれます。
このようなコツが習得されれば、例えばピッチャーの絶妙なコントロール、バスケットボールの3ポイントシュート、テニスや卓球などの球を切るなどのスポーツスキルにつながっていきます。また「運動類縁性」というものがあります。
運動の特にスポーツスキルには共通した動きがあります。例えばテニスのサーブ、バドミントンのスマッシュ、バレーボールのアタック、アメリカンフットボールの投げ方には共通した上半身の動きがあります。これらは運動ファミリーとも呼ばれています。

この中のどれかひとつでも、その動きとコツを習得すれば、他の動きは類縁性があるため応用を効かせることで習得の効率化を図れます。これが以前に紹介した「即座の習得」つながります。
ここまで述べてきたように運動スキルの習得はコツにあります。コツの指導は非常に難しいです。しかし、現代の子ども達には運動スキルを習得する機会が減少しています。したがって逆説的ですが運動スキル習得を指導する必要があるのです。



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